時計修理用ワークベンチ

時計修理用ワークベンチ

W1250 D580 H970
目白カバ材 着色 ウレタンオープン塗装
東京都中央区 某百貨店展示
2019年8月16日製作

時計職人が時計の組立てに使う、デスクトップが極端に高い机です。
某百貨店の時計販売用のディスプレイとしてご依頼を頂きました。
有名な独立時計師の方を招くイベントを定期的に行い、その都度このワークベンチにサインをして貰うというのがコンセプトになっています。
高級時計売り場のディスプレイという事で、高級感のある装飾性が必要ですし、側面はサインをしやすい(あるいは目立つ)デザインである必要があります。
また、いつかはワークベンチ自体も販売する予定との事なので、実用性もしっかり兼ね備えなければなりませんでした。

時計修理用ワークベンチ

サインをするであろう裏面と側面は基本的にフラットな状態にし、足の入る部分の裏板は、袖部分よりも内側に凹む様にして立体感を付けました。
装飾をシンプルにする代わりに、突板を矢張りにして華やかさの演出を試みました。
使用した目白カバは色が白く、木目には「ギラ」とよばれる光沢のある木目が現れるので、それを強調する事でキラキラとした魅力的な存在感が出せると考えました。
ただ、売り場全体のカラーがブラウン基調であった為、このベンチも最終的には着色する事となってしまい、この狙いは上手くいきませんでした。
目白カバのギラは着色していまうと消えてしまうのです。

時計修理用ワークベンチ裏板と脚部分

脚部に繋がる側柱は、斜めに大きく欠き取りしたデザインです。
これは、角を立体的に綺麗に見せるのと、脚が外側にせり出しているように見せる狙いです。
脚が広がって見える事で、クラシカルで安定感のあるデザインになります。

時計修理用ワークベンチ前面詳細

引出しの前板は「半カブセ」という、前板の厚みの半分程を欠き込んで、本体内に収める形にして、前板を薄く見せています。
最近の引出しにはほとんどスライドレールを付けていますが、今回はあえて昔ながらのレール無しにしました。
このデザインでスライドレールって、何か似合わない感じがします。

全体にスッキリした印象でも、クラシカルな雰囲気も感じさせるデザインに仕上がったと思います。

引き出し